okoんにちは!okomoto店長のオコモトです!
この記事にたどり着いた方は、
という方ではないでしょうか。
バイクを楽しむ上で、自分のライディングに合わせたサスペンション調整、サスセッティングは必要不可欠です。サスペンション調整・サスセッティングをしていないバイクでライディングすることはサイズの合っていないバスケットシューズでサッカーをするようなものです。
まぁまぁな例えね・・・
しかし、以前の僕がつまづいたように、バイクのサスペンション調整・サスセッティングは専門用語を使ったや難しい話にすぐに踏み込んでしまうのでなかなか敷居の高いものですよね。
初心者向けの情報でも全然理解できないわ…リバウンドストロークってなに?バスケ?
この記事では、ツーリングで出会う峠をマイルドに膝を擦りながら楽しんでいる程度の僕、「セッティングを突き詰めてサーキットでバリバリ走っているライダーよりもあなたに目線が近い僕」が、
というバイクのサスペンション調整・サスセッティングについてマイルド、且つ網羅的に解説していくものです。
この記事を読めば、次のお休みにマイナスドライバーを持ってウキウキでバイクに乗ることができます。
バイクのサスペンション調整・サスセッティング回す方向や効果一覧表
変わる箇所 | 影響が大きい 順番 | 左に 回すと (緩めると) (抜くと) | 右に 回すと (締めると) | |
フロント プリロード (イニシャル) | 跨ったときの フロントの車高 (バネが上下する 最初の位置を決めておく) | 1位 | 沈み込むようになるので低くなる | 沈み込まなくなるので高くなる |
フロント 伸び側 (リバウンド) | フロントサスペンションが伸びる速さ (縮んだサスが 元に戻る速さ) | 3位 | 速くなる 柔らかくなる 弱くなる | 遅くなる 固くなる 強くなる |
フロント 圧側 (コンプレッション) | フロントサスペンションが縮む速さ (サスペンションが沈む速さ) | 5位 | 速くなる 柔らかくなる 弱くなる | 遅くなる 固くなる 強くなる |
リア プリロード (イニシャル) | 跨ったときの リアの車高 (バネが上下する 最初の位置を決めておく) | 2位 | 沈み込むようになるので低くなる (左回しの場合もあり) | 沈み込まなくなるので高くなる (左回しの場合もあり) |
リア 伸び側 (リバウンド) | リアサスペンションが伸びる速さ (縮んだサスペンションが 元に戻る速さ) | 4位 | 速くなる 柔らかくなる 弱くなる | 遅くなる 固くなる 強くなる |
リア 圧側 (コンプレッション) | リアサスペンションが縮む速さ (サスペンションが沈む速さ) | 6位 | 速くなる 柔らかくなる 弱くなる | 遅くなる 固くなる 強くなる |
サスペンション調整の勉強をしていると様々な言葉・表現が出てきて、
あれ?弱めるってことは左に回すんだっけ?そうすると柔らかくなる?柔らかいってことは速くなる?ってことは柔らかくなる?
と混乱します。複数の資料を照らし合わせて勉強すると表現が違うせいで理解がなおさら難しくなるので、僕が知る限りの言葉・表現を一覧にしてまとめておきます。正直、少しだけサスセッティングの勉強をして挫折中の方はこの表だけでも大満足するようなものだと思います。過去の僕に届けられればきっと僕はもう少しバイクが上手なライダーになっていたと思います…。
サスセッティングする順番
- Qバイクのサスセッティングはどんな順番でやればいいですか?フィーリングですか?
- A
最初に影響が大きいフロントプリロードから始めて、最後に影響力が小さいリアの圧側で終わるのがおすすめです。
上の表に「影響が大きい順番」という項目を作りましたが、この順番はサスの動きに与える大きさを示しています。
影響力はリアよりもフロントの方が大きく、圧側<伸び側<プリロードの順に大きくなっていきます。
ですので調整を行う順番は影響力の大きい方、つまり、最初にフロントのプリロードをから始めて、最後にリアの圧側で終わるという流れになります。
まずは大きなものから決めていって、最後に微調整するのじゃ。
サスペンション調整箇所と効果解説
バイクのサスセッティング調整について、サスセッティングの順番ごとに調整箇所、調整のやり方、調整の効果を解説していきます。
この記事では全ての調整機構がついているフルアジャスタブルな場合についての説明をしますが、車種によっては「プリロード調整しかできない」という車種もあります。ご自分の愛車でできる範囲の調整を楽しんで下さい。
バイクのフロントプリロード(イニシャル)調整
ライダーの体格、体重、乗車姿勢に合わせて、あらかじめサスペンションを押さえつけることでサスペンションの動き始めの位置を調整しておくのがプリロードです。沈み込みが始まる位置が変わるので、バイクに跨った時のフロントの沈み込み具合が変わります。フロントのプリロードは、
赤い○の六角形の部分をメガネレンチで回して調整します。
22mmのメガネ持っていくの面倒なのと、気軽に調整できるようにイニシャルアジャスターをつけています。めちゃくちゃ固いけどメガネ持ってくよりマシー!
フロント プリロード | 乗車時の 車体前側の車高 | 体重 | |
右に回す | 強くなる | 高くなる | 重い人向け |
左に回す | 弱くなる | 低くなる | 軽い人向け |
サーキットをバリバリ走る方はコースによっては左右の調整を微妙に変えることもあるそうですが、我々のようなツーリングハッピーライダーが真似をするとタイヤの片減りを起こしてしまうので左右のプリロード調整は同じにしましょう。
フロントプリロードは一番簡単そうで難しい部分だから別記事で詳細を解説しているよ。
バイクのリアプリロード(イニシャル)調整
フロントと同じく、ライダーの体格、体重、乗車姿勢に合わせて調整します。バイクに跨った時のリアの沈み込み具合が変わるので弱めるとサスペンションが大きく沈むので車高が低くなり、足つきが良くなったりします。なったように感じます。
この記事を読んでいるくらいの人は足つきなんて気にしないレベルにいるとは思うけどね。
リアのプリロードは、
一般的には少々バイクをバラしてリアサスを触れるようにしてからフックレンチという特殊な工具を使って調整します。車種によってはバイクをバラすことなく手で気軽に回せる機構がついていたり、電子制御で調整できる車種もあります。
リア プリロード | 乗車時の シートの高さ | 体重 | |
右に回す | 強くなる | 高くなる | 重い人向け |
左に回す | 弱くなる | 低くなる | 軽い人向け |
リアのプリロードもフロントと考え方は同じですが、車種によって回す方向が逆になることもあるので注意して下さい。
上の画像のバイクの場合は王冠のような部分に工具を引っ掛けて、左に回すとプリロードが強くかかってバネが短くなり、右に回すとプリロードが弱くなりバネが長くなります。
バラす必要があるリアサスは峠で気軽に調整できないよ。「サグ出し」をすると正確なプリロード調整ができるよ。
バイクのフロント伸び側(リバウンド)調整
フロントサスペンションが伸びる速さを調整します。「バネが伸びるときの動き」なので「伸び側」です。
プリロードを調整したところの中の部分をマイナスドライバーで回して調整します。回した時の効果やよく使われる表現は下記の通りです。
回す行為の表現 | 回す行為の表現 | バネの動きの表現 | バネの動きの表現 | |
右に回す | 強くする | かける | 伸びにくくなる | 固くなる |
左に回す | 弱くする | 抜く | 伸びやすくなる | 柔らかくなる |
主にフロントサスペンションが伸びるとき、コーナーの向き変え直後からニ次旋回中に影響します。強くするとスパッと向きを変え、弱くすると路面追従性が上がるのでグリップ感を感じやすく、粘りながら旋回していく感じになります。
バイクのリア伸び側(リバウンド)調整
リアサスペンションが伸びる速さを調整します。「バネが伸びるときの動き」なので「伸び側」です。
このバイクの場合、リアサスのタイヤ側(下側)についている調整機構をマイナスドライバーで回して調整します。回した時の効果やよく使われる表現は下記の通りです。
回す行為の表現 | 回す行為の表現 | バネの動きの表現 | バネの動きの表現 | |
右に回す | 強くする | かける | 伸びにくくなる | 固くなる |
左に回す | 弱くする | 抜く | 伸びやすくなる | 柔らかくなる |
主にリアサスペンションが伸びるとき、クリップを超えて立ち上がるとき影響します。強くすると高速コーナーでも粘ることができ、弱くすると路面追従性が上がるのでグリップ感を感じやすく、低速コーナーでも粘りながら立ち上がっていく感じになります。
バイクのフロント圧側(コンプレッション)調整
フロントサスペンションが縮む速さ、サスが沈み込む速さを調整します。「圧がかったときの動き」なので「圧側」です。
このバイクの場合、フロントサスペンションのタイヤ側(下側)に調整機構があり、マイナスドライバーで回して調整します。回した時の効果やよく使われる表現は下記の通りです。
回す行為の表現 | 回す行為の表現 | バネの動きの表現 | バネの動きの表現 | |
右に回す | 強くする | かける | 縮みにくくなる | 固くなる |
左に回す | 弱くする | 抜く | 縮みやすくなる | 柔らかくなる |
主にフロントサスペンションが縮むとき、ブレーキ区間からニ次旋回中に影響します。ブレーキングのノーズダイブが大きすぎるときは強くし、もっとフロントサス沈み込ませてコーナーに進入したいときは弱めたりします。二次旋回は伸びと圧のバランスなので圧も多少影響しますが伸びほどではありません。
バイクのリア圧側(コンプレッション)調整
リアサスペンションが縮む速さ、サスが沈み込む速さを調整します。「圧がかったときの動き」なので「圧側」です。
このバイクの場合、リアサスペンションのシート側(上側)に調整機構があり、マイナスドライバーで回して調整します。回した時の効果やよく使われる表現は下記の通りです。
回す行為の表現 | 回す行為の表現 | バネの動きの表現 | バネの動きの表現 | |
右に回す | 強くする | かける | 縮みにくくなる | 固くなる |
左に回す | 弱くする | 抜く | 縮みやすくなる | 柔らかくなる |
主にリアサスペンションが縮むとき、二次旋回中から立ち上がりまでに影響します。強くするとスパッと向きを変え、弱くすると路面追従性が上がるのでグリップ感を感じやすく、粘りながら旋回していく感じになります。
峠で行う、プリロード最弱から始めるバイクサスセッティングやり方
とりあえずサスセッティングをしてみたい!どんなもんか試してみたい!
という方のために、峠で行うサスペンション調整方法を具体的に解説します。
それぞれ解説します。
プリロードは最弱にしておく
プリロードは調整機構が硬く、リアに至っては少々バイクをバラす必要もあり、工具も持っていなかければならなくなるので、出発前にあらかじめ調整しておくのが良いです。そもそもプリロードは「走ってみていい感じに調整するもの」というよりも「体重で決めるもの」と考えましょう。
知識「0」の状態からプリロードについて考えすぎると知恵熱がでるくらい混乱するので「体重70kgくらいまでなら最弱」「それ以上の体重なら乗ってみた具合で次回以降少し強めてもいいかな」くらいに考えましょう。
つまり最初のセッティングは「前後プリロード最弱」ということです。
多くのライダーはサグだしをしても結局最弱設定になることがほとんどだよ。
マイナスドライバーを持っていつもの峠に行く
伸び側と圧側を調整するための工具(多くの場合マイナスドライバー)を持って「いつもの峠」に行きましょう。
「いつもの峠」というと走り屋みたいですが、「バイクを気持ちよく走らせられるコーナーがいくつか連続している区間」があればそこが「いつもの峠」になります。
「気持ちよく走れる」ということはあなたのコーナリングスキルや好み、速度域にマッチしている峠なので、そこで出したセッティングは多くのツーリング先の峠ともマッチしやすくなります。
いつもの峠ではサスペンション調整の他、空気圧遊び、タイヤの皮むきなんかを安心して行えるので、まだ「いつもの峠」を見つけていない方は下の記事を参考に峠探しをしてみて下さい。
前後の伸びと圧を最強にして走る
まずは前後の伸びと圧を最強にして一本走ってみましょう。
低速コーナーメインの峠だとタイヤからの情報が少なくなってバイクの挙動が掴みづらく、カクカク曲がる感じがし、バイクに明確に入力をしないと曲がらない感じがすると思います。よく言えば「バイクがはっきりしてスパッと動ける」感じ。
前後の伸びと圧を最弱にして走る
次に前後の伸びと圧を最弱にして走ってみましょう。
タイヤからの情報が増え、バイクの挙動を掴みやすくなると思います。大袈裟な体重移動をしなくてもなんとなくうまく曲がってくれる感じがします。よく言えば「ヌメッと楽に曲がれる」感じ。
お好みのセッティングを探してみる~バイクサス調整手順~
最強と最弱を体験して「サスセッティングで全然変わるんだなぁ!」ということを体感したら、あとは自分がライディングしやすいセッティングをみつけていく作業に入りましょう。
この方法で最初のサスセッティングは成功します。その後は走る度に、
もう少し二次旋回のときにリアからの情報が欲しいな…
少し速度が上がるとノーズダイブが気になるな…
など都度悩んで最高のセッティングに近づけていく作業を楽しみましょう。ちなみにサスセッティングは空気圧や体調、路面状況などによって最適解が変化するのでセッティングに終わりはありません。味噌汁の味が濃い薄い問題のように一生上手に付き合っていきましょう。
試したセッティングをスマホにメモし、走った後に感想を書いておくと設定を忘れずに済むのでおすすめです。
さらっと書いているけど、これやったらもう「サスセッティングの沼」に両足突っ込んでるからね・・・
自宅で行う、ネットを使ったバイクサスペンション調整やり方
サス最強、最弱を体験して「サスセッティングで全然変わるんだなぁ!」ということは実感できたけれど自分の好みがわからない。どれも運転しやすい気もするし、しにくい気もする・・・
という方は、
で検索をすると、その車種のオーナーさんがおすすめのセッティングを教えてくれます。そのセッティングを軸に調整を始めるのもいいと思います。
先人に学べ!だね。
峠初心者におすすめのセッティングは結局最弱
- Q最弱のセッティングが良いと聞いたのですが…
- A
安心感を持って走ることができるのでおすすめです。
とはいえ、初心者の方はなんだかんだ「全て最弱」が乗りやすいと思います。路面追従性が高いのでグリップ感を感じやすいのでバイクを倒す恐怖心が減りますし、
そこで曲がって!ほら!そこでスパッと寝て!
(うるせーな曲がりたきゃちゃんと入力しろよ)
と、一生懸命バイクに指示しなくても、
(あの辺で曲がりたいなぁ・・・)
オッケー!
というように曲がれる気がするからです。
跳ねる!切れ込む!などというときの調整方法一覧
- Q「こんな挙動のときはこうする」的な資料が欲しいです。
- A
コーナリングに取り憑かれたバイクメーカーの資料を載せておきます。
バイクのサスペンション調整の基本的な考え方は「高速域メインなら強め、低速域メインなら弱める」という感じですが、結局は個人のフィーリングで決めなければなりません。
それではちょっと曖昧なので、会社ごとコーナリングに取り憑かれた、今はなきアメリカのバイクメーカーBuellが遺したサスセッティングの指針が手元にあるので載せておきます。
もう倒産してるからいいよね!ということでどうぞ。
Buellは「サーキットガンガン走るぜ!」「ロングツーリングをまったり楽しむぜ!」的な車両ではなく、「日本の峠やミニサーキットを楽しく走るぜ」というようなバイク(TZR250の車体にハーレーエンジン積もうぜ!的なノリで作られた)なので、我々の様なバイク楽しいハッピー系ライダーにはかなり役に立つ情報かと思います。
ハンドルが切れ込む人はステアリングの応答性を高めるには・シャーシコントロール/ハンドリングを良くするにはと逆のことをするっていう感じでうまく使ってみてね。
【裏技】サスペンション調整でタイヤの寿命を伸ばす方法
ちなみにリアの圧を最強にすると駆動輪であるリアタイヤの摩耗を抑えることができます。
僕は高速道路に乗るツーリングのときは
という順番でツーリングに行っています。ちなみに伸びを強めるとそれに合わせて圧も強まるので伸び側と圧側両方強くした方が高価は高いです。
この記事を読んでドン引きしている方も「高速道路×リア圧最強=経済的」なセッティングを試してみて下さい!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
初めてのサスセッティングを始める方にはちょうどいい感じの記事になったかと思います。
バイクのサスセッティングは無料で楽しめ、ラディングの質を大きく高めてくれるものです。終わりがないので永遠に楽しめるコスパ最強の遊びです。そんな軽い感覚でお付き合いするのがいいです。セッティング沼に入り込みすぎると「バネレートがー!油面がー!オーリンズがー!ナイトロンがー!」となり、大変コスパが悪い遊びになるのでほどほどに…。
僕自身、割りといい加減な人なので、
強めるとハッキリして乗りやすいな!弱めてものノペッと楽に乗れて乗りやすいな!どっちもいい!
という感じですので、ちょうどいい距離感でサス遊びをしていきましょう。
この記事をきっかけにバイクがもっともっと楽しくなって、ライディングの調子が悪い時に、
セッティングちゃんと出てねーんだよなぁ!HAHAHA!!
と、それっぽい言い訳を自分にしてあげられるようになれば幸いです。
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