okoんにちは!okomoto店長のオコモトです!
この記事にたどり着いた方は
という方ではないでしょうか。
この記事では
ということについて解説していきます。
ずっと前にwin-winツーリングのお相手から「サグ出しの記事書いとてー」と雑に言われたのを雑に思い出したので書きました。win君は感謝してください。
サグ出しとは?
サグ出しとはサスペンションのプリロード調整の一つの方法です。
プリロード調整とは「体重に応じてサスペンションをあらかじめ沈み込ませておく」ことを目的として行われます。
サグ出しは
ライダーが跨ったいない状態だとこれくらい、跨るとこれくらい、このバイクの構造的に跨った状態ではこれくらいの沈み込みが適正だから、あらかじめこれくらいのプリロード調整にしておきばOKだわ!
と、計測した数字を根拠にプリロード調整を行うことです。
ライダーの体重、乗車姿勢にバッチリ合ったプリロード調整ができるので、サグ出しを行うと「ライダーにバッチリ合ったバイク」に仕立てることができます。
「リアサスが柔らかくてツーリングが楽~」ではなく、「リアサスがちょうどよくてコーナリングが楽しい~」というセッティングを目指すプリロード調整じゃよ。走ることを目的としないライダーにはサグ出しは重要ではないんじゃよ。
逆に言うと走ることを目的としているライダーには必須!
二人でバイクリアサスのサグ出しをする方法
まずは一般的な二人でサグ出し作業を行う方法を簡単に解説します。
それぞれ解説します。
バイク装備を着る、装着する
半袖+短パンとレザースーツではライダーの重さが全然変わってくるのでサグ出しを行うときは必ず「実際にバイクに乗るときの装備」で行うようにします。
ツーリング中のコーナリング性能を上げたい方はツーリングに持っていく荷物を詰めたシートバッグなどを積載した状態でサグ出しを行うことでより精度の高い結果を得ることができます。
実際にコーナリングするときの重さじゃないと精度は高くならないよ。せっかくやるんだから精度の高い結果を得よう!!
サスの伸び側、圧側を最弱にする
詳しくは下の記事を読んでください。
リアタイヤを浮かせ、リアアクスルからシートの任意の位置までの距離を測る(0G)
リアタイヤを浮かせた状態で、リアアクスル(後輪の中心)から車体の任意の位置までの距離を測ります。リアサスに重さが乗っていない状態(リアサスが伸びきった状態)を0G状態といいます。
このとき注意してほしいのが、「リアサスの動きと一緒に動く車体の位置から距離を測ってはいけない」ということです。例えばチェーンカバーやマフラーはリアサスの動きと完全に連動して動くのでダメ。シートはリアサスと連動しないのでOKという感じです。
この記事ではわかりやすく「シートの任意の位置」としています。
ちなみにスイングアームなどになにかを噛ませてリアタイヤを浮かせるような下記の記事の方法ではリアサスが縮むのでNGです。パワーで上げるか吊ってください。
パワーが足りなきゃ筋トレだ!出直して来い!!HAHAHA!!
直立状態のバイクに跨り、リアアクスルからシートの任意の位置までの距離を測る(1G´)
誰かにバイクを支えてもらい、直立状態のバイクに跨ります。
0Gを計測したときと同じ手順でリアアクスルからシートの任意の位置までの距離を測ります。この状態はライダーの体重がリアサスに乗っているので先ほどより距離は短くなります。
このとき重要なのは「(装備を含む)ライダーの重さだけがリアサスを縮めている」ということなので、サイドスタンドや足でバイクを支えると意味がなくなってしまいます。協力者にバイクを軽く支えてもらうようにしましょう。
シートの任意の位置は0Gを測ったときと同じところから測るんだよ。
ライダーの重さが乗っている状態を1G´(イチジーダッシュ)といいます。
ちなみに1Gはライダーが乗らずにバイクだけが自立している状態だよ。
「(0G)-(1G´)=ホイールトラベルの1/3」になるようにプリロード調整をする
(0G)-(1G´)=ホイールトラベルの1/3になるようにリアプリロードを調整します。
ホイールトラベルとはホイール中心(リアアクスル)が動く最大量のことで、サスペンションが最も縮んでいるときのホイール軸の中心と最も伸びているときのホイール軸の中心の長さの差です。
ホイールトラベルは自分で計測することがほとんど不可能なので・サービスマニュアル・ネット検索・バイク屋さんに問い合わせをして愛車のホイールトラベルを調べましょう。
例えばリアホイールトラベルが120mmのバイクの場合、0Gと1G´の差が40mmになればいいということじゃよ。
バイク支えてくれるような人いないんだが?今すぐサグ出ししたいんだが?一人でサグ出ししたいんだが?
一人でバイクリアサスのサグ出しをする方法
一人でサグ出し作業をする方法を解説します。
二人でサグ出しをする場合と異なる点をそれぞれ解説します。
重りをつけたワイヤーロープをシートに固定する
ワイヤーロープの先端に重りをくくりつけたものをシートに貼り付けます。シートに貼り付ける位置は「リアアクスルの真上よりちょっとだけ前側」が良いです。
「ちょっとだけ前側」なのはこの後ワイヤーをフックにかけやすくするためです。重りはワイヤーがピンと貼れれば何Gでもいいですし、素材はなんでもいいです。ワイヤーの長さは900mmあれば十分かなと思います。
重石は地面から浮いている状態にすること!
リアアクスルシャフトにフックを貼り、ワイヤーをひっかける
リアアクスルシャフトにフックを貼ってワイヤーを通します。この時ワイヤーに少しだけ角度がつくようにすると作業中ワイヤーが外れにくくなります。
フックの粘着だけではくっつかないときは養生テープやらなんやらで止めてね!
フックを挟むようにワイヤーにタイラップを付ける
ここからはわかりやすいようにイラストを単純にします。
フックを挟んで(フックの上下に)ワイヤーロープにタイラップ(結束バンド)を取り付けます。タイラップは「上げても落ちてこないがスムーズに動く」くらいの絶妙な強さで設置してください。
落ちてこなくてスムーズに動くなら紐でもいいよ。
サイドスタンドを軸にしてリアタイヤを浮かせる(0Gの計測)
サイドスタンドを支えにしてリアタイヤを一瞬浮かせます。
ワイヤーロープ自体は全体が上方向に引き上げられますが、フックの下に設置したタイラップはフックの下にとどまり続けます。
このタイラップの位置が0Gの目印になります。
サイドスタンドだけでバイクを支えるのはスタンドに負担がかかるけど、一種我慢してもらおう!
センタースタンドがあるならセンタースタンドがいいよ。サグ出しするような人がセンタースタンドがついているバイクに乗っているとは思えないけど・・・
バイクに跨って一瞬両足を離す(1G´の計測)
次にバイクに跨って一瞬両足を離します。ライダーの重さだけでサスを縮められればOK。
すると今度はワイヤー自体は全体的に下に引き下げられますが、フックの上に設置したタイラップはフックの上にとどまり続けます。
このタイラップの位置が1G´の目印になります。
タイラップの長さ【(0G)-(1G´)】がホイールトラベルの1/3になるようにプリロード調整をする
あとはタイラップ間の距離がホイールトラベルの1/3になるようにリアのプリロードを調整してあげればOK!
0Gを測った段階で下のタイラップからホイールトラベルの1/3のところにマジックペンで印をつけて、上のタイラップがマジックペンに来るように調整するのが楽じゃよ。
バイクのフロントサスペンションのサグ出し方法
フロントサスペンションのサグ出しはリアと比べれば簡単です。
フロントサスペンションはライダーが跨ったときにフルストローク量(サスが伸びきった状態と縮み切った状態の差)の1/3程度沈むのが適正とされています。
これをもっとも簡単に調べる方法は
です。
それぞれ簡単に解説します。
ちなみにネットなんかで調べてフルストローク量がわかれば①の作業はする必要はないんじゃよ。
フロントタイヤを浮かせてインナーチューブの長さを測る(0G)
前輪を浮かせた状態でインナーチューブの長さを測ります。ここで測っているのはインナーチューブの頭からお尻まで、つまりそのフロントサスペンションのフルストローク量になります。
前輪を浮かせる際は、軽いバイクであればサイドスタンドを支えにして浮かせることができますが、重いバイクはジャッキを使うことをおすすめします。
パワーでいってしまえぃ!!HAHAHA!!
インナーチューブにタイラップを軽く巻き、バイクに跨って一瞬ステップに足を乗せる
自然と落ちない程度にインナーチューブにタイラップを巻きます。
バイクに跨り、ライダーの重さがフロントサスペンションに乗るように一瞬両足をステップに乗せます。
当然アウターチューブは下に下がるわけですが、このときアウターチューブと一緒にタイラップも下がります。
ライダーが足をついたりバイクを降りるとフロントサスペンションにかかるライダーの重さが減ったりなくなったりするのでアウターチューブは上に戻っていきますがタイラップは「ライダーの重さがかかった場所にとどまっている」ということになります。
タイラップの位置が「アウターチューブが沈み込んだ位置(1G´)」ってことね!
タイラップをアウターチューブの逆側から測って0Gのときの2/3の位置に来るように調整する
上のイラストで示した長さが、最初に測ったフルストローク量の2/3になるようにプリロードを調整すればフロントサスペンションのサグ出しは完了です。
①が120mmであれば③が80mmであればOK!ということです。これはライダーが跨ったときに40mm(フルストローク量の1/3)沈んでいるのと同じことです。
アウターチューブ側から1/3ではダメなの??
前輪が地面についている状態は0Gではなく1Gなのでダメです。アウターチューブ側から1/3でサグを出すなら調整の度にタイヤを浮かす必要があります。
確かにいちいち浮かせてたらサイドスタンド折れちゃうわ・・・
イラストは倒立フォークで図解したけど正立の方は混乱しないように。記事の文章のとおりにすれば問題ないよ。
ショップにサグ出しを依頼する方法
いやーやっぱり面倒くさいです。
という方はショップにお願いすることができます。
に問い合わせましたがサグ出しはやっていないそうです。サスペンション購入特典でサグ出しをしてくれる店舗もありますが、あくまでも購入特典なので「洋品店ではサグ出し不可」という認識でいいかと思います。
足回りを得意としている個人経営のバイクショップや、バイクタイヤ専門店さんなどではやってくれることもあるので問い合わせしてみましょう。
ぶっちゃけサグ出しが必要な人「無段階調整のリアサスのバイクに乗っている、巨漢のサラリーマンか時間単価の低いフリーランスの方」だけ論
いやーお金かけてまでやりたくはないかな・・・。軽くスポーツランしたいだけだし・・・
という方で体重80kg超える巨漢ではない方はぶっちゃけのプリロードを最弱にしておけばだいたいうまくいきます。一生懸命サグ出ししても結局最弱でよかった・・・なんてことは多いです。
最弱にしてみる→1段上げてみる→乗りやすくなった→2段目にしてみる→・・・を繰り返して、せいぜい1~2段目に落ち着くと思います。これが最も簡単なサグ出しです。
まぁこれは「サグ出し」とは言わないんだけどね・・・ただプリロード調整したってだけの話なんだけどね・・・
無段階調整のバイクはあきらめてサグ出ししよう!笑
時間単価が高いフリーランスの方は専門の機材を使って時短するのもひとつの手だと思います。僕はまだまだ時間単価が高くないので手作業でやりました・・・。
時間単価が高い人は換金できない作業は人に頼んだり道具を使ったりして「稼げる時間」を確保するんじゃよ。お金持ちがタクシーに乗るのと同じじゃ。
僕はバイクに乗ってどこまでも~♪win君はslacker買うだろうから貸してもらおう♪
この記事の方法でサグ出しすべきなのは
- 無段階調整のリアサスのバイクに乗っている、巨漢のサラリーマンか時間単価の低いフリーランスの方
ってことになね。
win君はslacker買うだろうから貸してもらおう♪
(いやいや、バイクは趣味なんだからサグ出し楽しめよ・・・)
オフロードバイクサグ出しの注意点
オンロードバイクのホイールトラベルは110~130mmが多いですが、オフロードを走るオフロードバイク、モタードのホイールトラベルはリアサスで180mm(CRF250L)~240mm(KLX230)などとかなり大きいです。
オンロード用のサグ出しの情報を参考に作業を進めると「あれ?バイクくらい調整しちゃってんだけどこれ合ってんの?」と思うかもしれませんが、安心して下さい。合ってますよ!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ナップスに問い合わせしたときに電話対応の方が「ザグ?ナニ出しですか?」と2回くらい聞き返されました。ピットにそのまま伝えて返事をいただいたようです。バイク用品店で働く人でも知らないようなマニアックなサグ出しですが、この記事をきっかけに走りに目覚めるライダーが一人でも増えればうれしく思います。バイクは走らせてナンボ!コーナリングが楽しいの!!
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