okoんにちは!okomoto店長のオコモトです!
この記事にたどり着いた方は
という方ではないでしょうか。
車のコーナリングであれば運転が上手な人に助手席に乗ってもらって
ハイ!今ハンドル切ってー!そう!もっと少し切ってーハイ!今戻すー!
と教えてもらうことができますが、バイクでそれを行うのはほとんど不可能です。
何故ならばバイクのコーナリングをライダーが能動的に制御するのはハンドルではなく体重移動やブレーキングからくる車体とライダーを合わせた重心の移動によるところが非常に大きいからです。
また、バイクは感覚で乗ることろが大きい乗り物のなので、ライディングの方法を誰かに伝えるのはとてもむずかしいものです。
そこで諸先輩方は「荷重」という便利な概念をバイクにあてはめてアレコレ説明するという方法を生み出しました。
この記事ではそんな荷重について
ということについて解説していきます。
なお、荷重を使いこなしてバイクで楽しくコーナーを駆け抜けたい方は下の記事も読んでみて下さい。
バイクの荷重とは?
荷重(かじゅう、英語:load)とは、力学において、物体の2点間に触れるところで発生する力のこと。
引用元:Wikipedia
力学の荷重とは上のWikipediaの説明の通りですが、バイクにおける荷重とは
という理解で良いかと思います。
バイクにおける荷重はバイクメーカーやレーサーがいい始めたことではなくどこかの雑誌のライターかなにかが使い始めて広まった言葉だと理解しています。
ライディングテクニックの説明をするときに荷重という言葉はとても使いやすのです。
例えば
という文章が
と書くと文章がすっきりしますし、何より
カジュー?なんだかアカデミックだわ!
みたいな雰囲気になります。
よく出てくる荷重としては
などがあります。
それぞれ
について解説します。
バイクの前荷重(フロント荷重)とは
前荷重(フロント荷重)とは、バイクの重心、或いはバイクとライダーの重心を前方に移すこと、またはその状態。
バイクが前荷重(フロント荷重)の状態
「前下がり後ろ上がり」の状態になる(する)こと。
バイクの前荷重(フロント荷重)のかけ方
直進状態ではフロントブレーキをかければ前荷重になります。
バイクの前荷重(フロント荷重)の効果
フロント主体で曲がるときは、フロントサスペンションが沈むことで旋回性が増す。
バイクの前荷重(フロント荷重)をかける主な目的
コーナー進入時のブレーキ区間でフロント荷重をかけながら曲がるための体重移動をしておき(慣性の法則でバイクは曲がらない)、倒し込みのポイントでブレーキリリースすることで慣性の法則によるフロント荷重から遠心力によるフロント荷重に置き換えることでクイックに曲がるため。
バイクの前荷重(フロント荷重)の注意点
フロント荷重をかけすぎると、タイヤのグリップを超えてフロントタイヤが滑ったり、フロントタイヤがロックして転倒することがある。
フロント荷重を強くかけているときに路面の凸を通ると、フロントサスペンションが底付き(沈み込みの物理的限界を超える)を起こして壊れることがある。
※「シートの前側に座る」と書きましたが、シート前側に座りすぎるとシート上での移動がしづらくなるのでタンクから拳1つは空けて座ります。
バイクの後荷重(リア荷重)とは
後荷重(リア荷重)とは、バイクの重心、或いはバイクとライダーの重心を後方に移すこと、またはその状態。
バイクが後荷重(リア荷重)の状態
「前上がり後ろ下がり」の状態になる(する)こと。
バイクの後荷重(リア荷重)のかけ方
アクセルを開けたときにもっともリア荷重になります。
バイクの後荷重(リア荷重)の効果
リアサスペンションが沈み、タイヤが潰れることでグリップが増し、より強く加速することができる。
リア主体で曲がるときリアタイアが地面を蹴る力に押し出されるようにハンドルが切れていくので旋回性が増す。
バイクの後荷重(リア荷重)をかける主な目的
コーナリングの二次旋回時にリアタイヤが地面を蹴る力を利用して強く曲がるため。
コーナーの立ち上がりでリアタイアがしっかり路面をとらえて加速していけるようにするため。
バイクの後荷重(リア荷重)の注意点
コーナーの立ち上がりで一気にアクセルを開けてリア荷重を強めるとタイヤが滑る。
急制動のときににリア荷重になりすぎるとグリップの限界を超えてタイヤがロックする。
バイクのシート荷重とは
シート荷重とは、ライダーの体重をシートに預けること。主にシートの前後左右にライダーの重心を移動してバイクを曲がる操作をすること。
バイクにシート荷重をかけている状態の例
シートの前後、左右などシート荷重の状態は様々。
普通に直進状態でですすんでいるときはシートの真ん中にシート荷重がかかっている。
バイクへのシート荷重のかけ方
などシート荷重をかける強弱によって変化する。「シート荷重の変化=シート上の重心移動」という解釈でたぶんOK。
バイクのシート荷重の効果
重心をずらすと、ずらした側にバイクが傾くのでバイクはずらした方向に曲がっていく。体重が乗り続けるので、後述するステップ荷重よりも強く曲がれる。
バイクのにシート荷重をかける主な目的
バイクを傾けて曲がるため。バイクを曲げるときは意識しなくても常にシート荷重をかけて曲がっている。
バイクのシート荷重の注意点
注意点は特になし。
普段の交差点を曲がるときもシート荷重を意識すると「どんな入力でバイクが曲がっているのか」ということがわかるので意識して街乗りをしましょう。
バイクのステップ荷重とは
ステップ荷重とはステップを踏みこんでバイクとライダーの重心を大きくずらして曲がること。
バイクにステップ荷重がかかっている状態
ステップは左右2本しかないので左か右かの2択。
バイクへのステップ荷重のかけ方
「右40:左60」というような繊細な荷重のかけ方ではなく、「右0:左100」が基本。
「右0:左70:シート荷重30」のように片方のステップにかける荷重の強弱で調整する。
ステップに体重をかけ続けると、一定の角度まではバイクは傾く。踏み込みの反力によってライダーの体はアウト側にいくとになるので、一定の角度で踏み込みによる傾きとライダーの体の移動のつり合いがとれてそれ以上曲がらなくなる(バイクが傾かなくなる)。のだと思う。
バイクへステップ荷重をかける効果
ステップ荷重はシート荷重よりもクイックに曲がることができますが、リアタイアに荷重がかからないのと、ずっと荷重をかけ続けることができないので曲がり方が弱いです。グイグイ曲がって行きません。
パッとフラッと真横に移動するように曲がるのは得意ですが、その後も安定して曲がり続ける・・・ということはできません。
バイクにステップ荷重をかける主な目的
正直普通に走っている局面ではあまり使わないです。普通に乗っている分にはシート荷重の方が良いです。
バイクのステップ荷重の注意点
外足荷重、内足荷重を説明するときに「外足/内足のステップを踏みこんで荷重をかけて~」と解説されることがありますが、この場合の「ステップを踏みこんで~」はステップ荷重とは切り離して考えた方が頭が混乱しません。
ステップ荷重とは「直進状態からバイクのバランスを崩してフラッとクイックにバイクを曲げること」と考えた方が諸々の解釈がうまくいきます。
ジムカーナを楽しむ方々がよく使うステップ荷重ですが、我々ようなハッピーツーリンガーでも緊急回避には使えるのでやり方は覚えておいて損はないです。
バイクの内足荷重とは
内足荷重とは、コーナーリング中にコーナー内側にライダーの体重をかけたり踏ん張ったりすること。
バイクに内足荷重をかけている状態
バイクへの内足荷重のかけ方
内足荷重は主にステップの先端を踏んで荷重をかけます。膝すりをするときなど、場合によってはステップの根本に足の裏を押し付けることもあります。
バイクの内足荷重の効果
ステップ荷重のように(やってることはステップ荷重ですが)クイックにバイクを倒すことができます。
バイクのに内足荷重をかける主な目的
コーナーの倒し込みのきっかけとして「イン側のステップを踏みこむ」というのが内足荷重です。クイックに倒し込んだ後に外足荷重に移行してバイクを強く曲げていきます。
他にも無理膝を膝をするときに「外足荷重で倒れたバイクに足払いをかけるように内足荷重をかけて更に倒す」「膝を斜め前にむりやり出すためにイン側のステップを踏む」という方法があります。
バイクの内足荷重の注意点
恐らくバイクが超うまい人でも内足荷重を使っている人はほとんどいないと思います。コーナリング時に内足荷重から外足荷重に移行するのはとても忙しい操作になり、コーナリングの流れを滞らせてしまうことがほとんどです。それと疲れます。
僕が今まで知り合った中で最もバイクが上手い元バイクタイヤのテストライダーの方が
ステップを踏みこみ内足荷重は〇〇サーキットの第〇コーナーでたまに使うか使わないかくらいですね。基本使いません。というか使いません。
と言っていたので僕は頭の中から「内足荷重」という言葉は削除しました。
ちなみにサーキットのスクールでも同じようなことを言われたよ。上手い人で内足荷重を重視している人はいないみたい。
コーナリング時に内足荷重をしてしまう人
きっかけ作りの内足荷重ではなく、コーナリングの2次旋回中も内足のステップに力が入ってしまう人はおそらく無意識に「バイクを倒すことが怖い」と感じています。
倒れようとする体とバイクを内足を踏むことの反力で支えようとして体を起こそうとしてしまっています。
もしも「コーナリング中は最初から最後まで内足荷重をしてしまう」という方はコーナリングスピードを少し落とし、バンク角を浅くして「内足から力を抜く練習」をしてみましょう。
少しずつ速度を上げ、バンク角を深くしていくと以前と同じ速度、バンク角でも内足に力が入らずにスムーズに走れるようになります。
遠心力とバンクのバランスを感じられるようになると更に早いコーナリングスピード、深いバンク角で走れるようになります。
多分。
バイクの外足荷重とは
外足荷重とはコーナリングのときにコーナーの外側の足全体でバイクを内側に倒す力を入れること。タンクの端に肘を当ててバイクを引き寄せるように倒すのも広義の意味では外足荷重に入ります。
バイクに外足荷重をかけている状態
バイクへの外足荷重のかけ方
コーナーの外側の足を車体に押しけます。肘を引っ掛けられるようなか角張った形状のタンクには必要に応じて肘もひっかけます。
このとき、単に足をバイクに当てるだけではなく、ステップを踏みこんで足を押し付けます。
「ステップを踏みこむ」という表現をすると「ステップ荷重」と混同しそうになりますが、実際の踏み込み方は
という方法で行います。ステップ荷重とは違ったただステップを踏んでいるわけではないです。
車体と足は完全にくっついているので実際につま先が外を向くことはありません。
つま先が外を向くのはあくまでも力をかける方向の話です。親指の付け根を上手く軸にできると、その反力で体はイン側に入って行き、よりバイクが傾きやすくなります。
外足荷重をかけているときはその反力でライダーの体はコーナーの内側に倒れていきます。そのときにしっかりと「シートの内側へシート荷重」をするとさらにバイクは旋回性を高めます。
バイクに外足荷重をかける効果
シート荷重をかけることができるのでリアに荷重をかけてより強く曲がることができます。
上で説明した通り、体がイン側に入るのでよりバイクを倒しやすくなります。
バイクに外足荷重をかける主な目的
外足荷重はバイクの旋回全体のためにかけられます。
ブレーキングでコーナリングの姿勢を作るところからコーナーの脱出までずっと外側荷重で通します。
バイクの外足荷重の注意点
注意点は特にありませんがレザーパンツを履いていると滑りにくくなるので荷重をかけやすくなります。
ニーグリップパッドでもかなり違います。
荷重をコーナリングに活かす考え方
かなり曖昧な話をしますが、ライディングは感覚によることろが非常に大きいのでちょっとしたイメージがライディングのレベルをドンと上げることもありますので僕なりの荷重のイメージを書いておきます。一般的に言われていることではないのでビビッッと来た方のみ参考にしてください。
ライディングをするとき、特にコーナリングのときは「縦横の荷重の移動」を意識するとよりコーナリングが楽しくなります。というお話です。
縦の荷重とはフロント荷重とリア荷重、
横の荷重とは外足荷重とシート荷重、
両方に干渉するのがシート荷重です。
荷重によるコーナリングの重心を3次元のマス目に落とし込む
3つの荷重を使ってバイクの上に二次元のマス目、時には三次元のイメージします。イメージしたマス目にバイクとライダーの重心の点を打てるように走ってみましょう。
重心と言っても完全に車外に放り出されていますのでなにか他の概念だと思って下さい。なんとなく受け取って頂ければ幸いです。
ブレーキング区間の前荷重を前後左右に割り振っていくイメージ
ブレーキング区間でかかった大きな前荷重のエネルギーを10として、一次旋回の向き変えの前半では
前7:後3くらいでしっかり前荷重がかかってるな!
二次旋回では
前7:後3から5:5くらいまでになったな!
と考えたり、前後に加えて左右も考え、
前5:後2:左2:右:1くらいで荷重配分できてるな!
前3:後3:左3:右1だな!次は前2:後4:左2:右2のリア荷重に移行するぞ!
と、前荷重の10を別の場所に分配し、常に動かし続けるという考え方をすると良いです。
ここからさらに発展してくるぶしや肘、太もも、膝、シートなどの要素も加えて考えを展開していくと得るものや気づくものが増えてライディングが楽しく上手になったりします。
こういったことをスロットルワークや荷重のかけ方をかえたりしてどんどん変化させていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
辞書で引いて説明が書いてある用語ではないのでもしかしたら他の方と解釈が違うこともあったかもしれません。その場合はその人の考えの方が正しいのでその方の意見を参考にしてください。
この記事が荷重について全く何も知らない方の「荷重の入り口」になったのであれば嬉しく思います。
頭がこんがらがったわ!
と言う方は
ということから始めて少しずつ荷重を操れるようになってみて下さい。
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