okoんにちは!okomoto店長のオコモトです!
この記事にたどり着いた方は
という方ではないでしょうか。バイクのことが少しわかってくると興味を持ってくるのが「エンジン」ではないでしょうか。
単気筒や2気筒、4気筒については理解できたけど、「直列」「並列」「V型」「L型」「ボクサーツイン」など細かい違いはわかっていそうでよくわからないですよね。
ボクサーが異彩を放っているわね・・・
そんなあなたのためにこの記事では
などについて解説していきます。
初心者向けに書いていますが趣味としてバイクを楽しむのであれば十分な情報を書いています。
エンジンの種類を決めるのはシリンダー(気筒)の配置
- Qエンジンの○型というのは何で決まるのですか?
- A
シリンダーの配置です。
「直列」「並列」「V型」「L型」「ボクサーツイン」などのエンジンの種類を決めるのはシリンダーの配置です。
シリンダーとは「筒」を意味する言葉で、シリンダーの中にはピストンがあり、ピストンが上下しながら吸気、圧縮、爆発、排気を繰り返しています。
つまり、シリンダーとは「エンジン内部で爆発が起きている筒(気筒)」ということです。
シリンダーについてわからない方は下の記事を読んでからだと理解しやすいと思います。
この気筒(シリンダー)の配置によゅて
などと呼び方が変わるわけです。
つまり、ピストンが入ったシリンダーが複数存在しないとこれらの形は作れないのでシリンダーが1つしかない単気筒エンジンには「直列」「並列」「V型」「L型」「ボクサー」という概念はないということです。単気筒エンジンは「単気筒エンジン」です。
単気筒はそこに単気筒があるだけなのさ・・・
(無駄に哲学的だなぁ・・・)
現在主流のエンジンの形と気筒数は
という8種類に分けられます。直列を並列の解説のあと、それぞれ個別に解説してきます。
歴史を振り返るともう少し種類はあるけれどキリがないので触れません・・・
直列と並列の違い
- Q直列エンジンと並列エンジンの違いを教えて下さい。
- A
どちらも同じです。違いはありません。
個別の解説を始める前に「直列」「並列」の違いについて解説しておきます。
結論から言うとほとんど同じものです。というか同じものです。
シリンダーの中にはピストンがあり、ピストンの片側はクランクシャフトとつながっています。
という行程を経てバイクのタイヤは回ります。ちなみにエンジンの「回転数」というクランクシャフトの回転数をさしています。
クランクシャフトはエンジン内の爆発を「回転運動」に変える大事なパーツです
直列、並列を説明するのに必要なのが、「クランクシャフト」ですが、
という状態で呼び方が変わるので
ということになるのですが・・・
実際に「直列四気筒」と言われるバイクを見てみると
めちゃめちゃ並列・・・。
ド並列・・・。
バイクの場合は車と違ってエンジンがむき出しなのでエンジンについて考えすぎちゃって並列を直列と言ったりなんやかんやになったらしいです。
乱暴に言うと並列と呼ぼうが直列と呼ぼうがどっちでもいいということです。
後述しますが二気筒は「並列二気筒」、四気筒は「直列四気筒」と呼ぶことが多いです。
結構曖昧な言葉なのね・・・
並列2気筒(パラレルツイン、パラツイン)
- Q並列2気筒エンジンを一言で!
- A
コスパが良い!
ということで「並列二気筒」から解説を始めます。
並列2気筒の呼び方
「パラレルツイン」「パラツイン」とも呼ばれます。
並列2気筒のメリット
単気筒のトルクと四気筒の出力の中間を取れるようなバランスの良いエンジンです。単気筒よりも大きな排気量、四気筒よりも小さな排気量のエンジンを作ることができるので様々な車種に採用されています。
単気筒の次に生産コストが安いというのも採用例が多い要因の1つです。
乱暴に言うと単気筒を並べただけの単純なエンジンだよ。
シンプルイズベスト
並列2気筒のデメリット
横にシリンダーを並べるので単気筒よりもエンジンの幅が広くなってしまいます。
振動もV型とは違ってそれぞれのピストンの動きを相殺して振動を抑えることができないので振動は大きくなります。
並列2気筒の見分け方
エンジン前方から見て、エキパイが並んだ状態で出ていれば並列2気筒エンジンだと判断してください。
※CB400SSやGBクラブマン、古いボルティなど一部の車両はエキパイの数が2つに見えますが「片方はエキパイではない」ということがあります。稀な例なのでこの記事では無視します。
速さや性能を求めるバイクには採用されません。とことこ走るバイクにぴったりです。
CBR250RRは性能を求めるバイクじゃないの?
豪華なバイクっていうだけで性能を求めてはいませんね。あれは関係者が持ち上げすぎ。昔のCBR250RRは四気筒でしたけど・・・
V型2気筒(Vツイン)
- QV型2気筒エンジンを一言で!
- A
バリエーションが多く、奥深いエンジン!
単純に考えると並列2気筒の上位互換エンジンがV型2気筒です。ハーレー社のバイクに搭載されていることで有名です。ハーレーのバイクのほとんどがVツインエンジンです。
シリンダーのバンク角によって特性が大きく変わるので一口に「V型2気筒」と言っても実は様々な種類に分かれる奥深いエンジンです。ちなみにハーレーのエンジンのバンク角は45°です。
速さや性能を求めるバイクには
昔は単気筒のハーレーもありましたが、現在はすべてVツインです。
採用されません。とことこ走るバイクにぴったりです。
電動バイクもあるわよね!
ハーレーがEVバイク出したのは衝撃でしたよね。一番出さなさそうなメーカーですからね。すごい!!
V型2気筒の呼び方
「ブイツイン」と呼ばれることが多い。特にライダー同士で話しているときや、ハーレーのエンジンについての話題のときは「ブイツイン」という事がほとんど。
Vツインの鼓動がぁぁぁぁあああ!!!!!OHV!OHィィぃイイイ!
それはただの振動じゃよ?
V型2気筒のメリット
並列2気筒がシリンダーを横に並べていたのに対して、V型は「前後」に並べるのでエンジンの幅を狭くすることができます。
昔のレーサーレプリカに2ストのVツインエンジンが採用されていたのはエンジンの幅を抑えてバンク角(バイクを傾けられる角度)を深くするため。
向かい合うピストンが振動を打ち消しあうので振動とメカノイズを抑えられます。
振動を消すはずのVツインでハーレーはなんであんなに揺れるの?
僕のバイク、アイドリングで立たせておくと振動で全身して倒れそうになりますからね・・・
V型2気筒のデメリット
シリンダーの配置が前後なのでエンジン長さが長くなり、長い車体になってしまいます。
また、後方に配置されたシリンダーは走行風に当たりにくく、冷却効率が悪いというデメリットもあります。
並列よりも複雑な作りになるので重量が増したり整備性が若干悪くなったりします。
僕のバイクは後ろのシリンダーに排熱用の扇風機がついています・・・
V型2気筒の見分け方
エンジンを横から見たときにシリンダーヘッドがVの字に2つに分かれていて、それぞれから1本ずつ、計2本のエキパイがでていればV型2気筒エンジンだと思ってください。
ハーレーのエンジンは迫力がありますよね!!
L型2気筒(Lツイン)
- QL型2気筒を一言で!
- A
V型2気筒の亜種!ドカティのエンジン!
察しがいい方は「L型ってV型と違うの?」と思っていますよね。お察しの通りL型ツインエンジンは「シリンダーバンク角が90°のVツインエンジン」です。
L型ツインエンジンはドカティが伝統的に使っているエンジンで、ドカティが「L型ツイン」と言うので「ドカティが言うなら仕方ないよね」的な雰囲気で定着しているエンジンの名称です。
ドカティさんが言うなら仕方ないよね
だね・・・
あいつら信待ちでガラガラ言って怖いしね・・・
三郎さんは「乾式クラッチ」のことを言っています!メカメカしいて超かっこいいです!
L型2気筒の呼び方
「Lツイン」「L型」と呼ばれます。ドカティ以外のバイクのエンジンには「Lツイン」という言葉を使いません。
スズキのTL1000(みんな大好き隼の先祖)にはLツインが搭載されていますが、こちらは「90°V型2気筒」という扱いです。
TL1000R割と乗ってみたい!
帰
— 鈴木オート (@128Strikeeagle) June 22, 2019
信号待ちで横に並んだSS乗り達のtl1000だ!の声にビビったwwww
やっぱみんなtl1000知ってるし人気なんだな😆 pic.twitter.com/yixaYkBji7
L型2気筒のメリット
V型は後方のシリンダーに走行風が当たりにくいというデメリットがありましたが、L型の場合は後方のシリンダーを立てることによって走行風を当て、冷却効率を上げています。
前方のシリンダーの重量がフロント加重、後方の高い位置にあるシリンダーが振り子のように動くことがドカティ独特のコーナリングを生み出しています。
L型2気筒のデメリット
90°未満のV型2気筒よりもさらにエンジンが長くなり車体が長くなってしまいます。ドカティは主にスポーツバイクを作っているメーカーなので長くなったエンジンの影響で車体がも長くならないようにキツキツパツパツで車体を作っています。
L型2気筒の見分け方
車体に「DUCATI」の文字があり、エンジンの前後からそれぞれエキパイが出ていたらL型2気筒と判断してください。
DUCATIには一部V型4気筒(パニガーレ V4など)もあるので注意してください。
水平対向2気筒(ボクサーツイン)
- Q水平対向2気筒エンジンを一言で!
- A
缶コーヒー好き旅バイクのエンジン!
主にBMWのバイクに採用例が多いのが水平対向エンジンです。シリンダーヘッドが左右出っ張ったとても特徴的な形をしています。
察しがいい方は「これV型と違うの?」と思っていますよね。お察しの通りボクサーツインエンジンは「シリンダーバンク角が180°のVツインエンジン」です。もう少しつけ足すと「縦置きのエンジン」です。※縦置きに関しては後述します。
厳密には違うような気もしますが、この記事レベルでは「縦置き180°のVツインエンジン=水平対向エンジン」という認識で問題ありません。
水平対向2気筒の呼び方
シリンダーが水平に、対向して配置されているので水平対向エンジンと呼ばれます。
他にも「ピストンの動きが、ボクサーがグローブ同士を打ち付けているのに似ている」という謎の理由で「ボクサーエンジン」「ボクサーツイン」という呼ばれ方をします。
ボクサーツインはBMWしか作っていないので「ボクサーツイン」「ボクサーエンジン」といえばBMWのエンジンという認識で大丈夫ですが、ホンダのゴールドウイングなどは水平対向6気筒エンジンを積んでいるので注意が必要です。
ピストンをグローブっていうなら全部のエンジンがボクサーになっちゃうわよね・・・最初に言ったやつ連れてきなさいよ。
水平対向2気筒のメリット
シリンダーヘッドが車体の低い位置にあるので低重心。低重心はコーナーリングの安定性や直進安定性を増してくれますし、幅の広いエンジンを振り子のようにつかってダイナミックにコーナーリングができます。
出っ張ったエンジンにはエンジンガードを付けることが一般的ですが、Uターンの時にエンジンガードを接地させ、そこを軸にUターンすることができる(ボクサーツインライダー談)
冬はエンジンに缶コーヒーを乗せて保温できる(ボクサーツインライダー談)
出っ張ったエンジンがあるので完全にバイクが横にならないので引き起こしが楽。
エンジンが張り出しているので冷却効率がすごくいい。冷却効率がいいということは安定してエンジンの力を出せるということです。
エンジンの性能だけではなく、コーヒーの保温などいろんな使い方ができるボクサーツインは「旅バイク」に最高なのかもしれませんね。
一度は跨ってみたいエンジンです。
惨めな気持ちになることが多い冬ツーリングだけどボクサーツインなら様になりそうね!
好きで乗ってるはずなのに寒くて惨めになりますよね 笑
水平対向2気筒のデメリット
単純なパワーは出しにくいエンジンなので速さをもとめる二流ライダーには向かない。余裕をもってエンジンの味を楽しみたい一流のツーリンガーに向いている。
事故を起こしたときにエンジンが大ダメージを受ける可能性が他のエンジンより高い。
エンジンが縦置きなのでアイドリング時に車体が右に傾く動きをする。バランサーがあるので走行時は問題ない。
バイクは速く走るのではなく、楽しむのが一番!楽しむ過程に少しだけ速さがあるだけです!
(この人もう少し速く走れれば説得力あるんだけどなぁ)
水平対向2気筒の見分け方
缶コーヒーを乗せられるくらいエンジンが出っ張っていたらボクサーツインだと思っていただいて問題ありません。
三気筒(トリプル)
- Q3気筒エンジンを一言で!
- A
2気筒と4気筒のいいとこどり!
イギリスのバイクメーカー「トライアンフ」が伝統的に使用しているエンジンが三気筒エンジンです。
ヤマハがMT-09に三気筒を採用してから日本人の我々にとっても身近なエンジンになりました。
昔のバイクにはV型3気筒などが採用されていたことがありましたが、現在では並列が主流です。トライアンフからは直列(縦置き)の三気筒もでています。
トリプルにも乗ってみたい!!すごく!!
(こいつなんでもいいんだな・・・)
三気筒(トリプル)の呼び方
「トリプル」「3発(サンパツ)」などと呼ばれます。
三気筒(トリプル)のメリット
並列2気筒と直列4気筒のメリットの中間。
三気筒(トリプル)デメリット
並列2気筒と直列4気筒のデメリットの中間。
三気筒(トリプル)の見分け方
エンジンの前方からエキパイが3つ出ていたら並列三気筒エンジンです。
横から出ていたら直列三気筒エンジンです。
直列4気筒(並列4気筒)
- Q4気筒エンジンを一言で!
- A
日本発祥の高性能エンジン!
「直列」「並列」の部分でも説明しましたが、正確には「並列4気筒」です。
しかし、バイクにおいては「直列4気筒」というのが一般的です。
2気筒は「並列」、4気筒は「直列」と言っておけばバイクライフはうまくいきます。日本発祥のエンジンなので日本車が強いです。
直4って言った方がそれっぽいですからね!雰囲気を楽しみましょう!
直列4気筒の呼び方
「直4(チョクヨン)」「マルチ」「4発(ヨンパツ)」と呼ばれます。「並列4気筒」という事はあっても「並4(ヘイヨン)」とは言いません。
「マルチ」は「複数の」という意味です。「複数の」という意味だと単気筒以外の全てのエンジンが該当してしまいますがバイク用語として使う場合は「四気筒」を指す言葉になることに注意しましょう。
直列4気筒のメリット
高出力を得やすいので高速域からのさらなる加速が得意。エンジンの反応も良いのでスロットル操作に対してダイレクトにエンジンが反応してくれる。
コーナーのクリップに向かいながらシフトダウンをするときの「フォーンフォーン」というキゾーストノート音が唯一無二でかっこいい。
直列4気筒のデメリット
高い出力を得る代わりに多くのものを失うのも四気筒エンジンの特徴です。ある意味最も趣味らしいエンジンです。他の排気量の四気筒以外のエンジンと比べると
- 燃費が悪い
- エンジンの幅が広くなる
- 整備費用が高くなる
- トルクが小さい
というデメリットがあります。
かっ飛ばしたい人はとりあえず直4!
直列4気筒の見分け方
エンジンの前方からエキパイが4つ出ていれば直列四気筒確定です。
フルカウルのバイクはエキパイが見えにくいですので知ったかぶりをする際は注意が必要です。
V型4気筒(V4)
- QV型4気筒エンジンを一言で!
- A
高性能エンジンの究極形!
生産コストが高いので市販車では珍しいエンジンです。単純な馬力性能でいえばもっともすぐれたエンジンと解釈することができます。
V型4気筒の呼び方
「V4(ブイフォー)」と呼ばれます。
V型4気筒のメリット
直列4気筒がシリンダーを横に並べていたのに対して、V型は「前後」に並べるのでエンジンの幅を狭くすることができます。
単純に考えれば並列2気筒のエンジン幅に4気筒を納めることができます。
エンジン幅が狭くなればバンク角(バイクを傾けられる角度)を深く確保することができるのでスポーツタイプに採用されることが多いです。
向かい合うピストンが振動を打ち消しあうので振動とメカノイズを抑えられ、直列4気筒と比べてトルクを引き出すこともできます。
直列4気筒とはまた違ったレーシーなサウンドも魅力の一つです。
V型4気筒のデメリット
生産コストが高いので市販車にはなかなか採用されません。整備性も悪く、プラグを交換するのも一苦労です。
V型4気筒の見分け方
エンジンの前後から2本ずつエキパイがでていればV4と考えて大丈夫です。
V4エンジンは多くの場合フルカウルをまとっていることが多いので注意が必要です。
NRは楕円ピストンと握りごけの2つの意味でレジェンドですよ!詳しくは下の記事で!
バイクのエンジンの縦置き横置き
- Qエンジンの縦置き、横置きを一言で!
- A
ほとんどが横置き!
この記事で書きたかったことは以上で終わりですが、ついでにエンジンの「縦置き」「横置き」について触れておきます。「直列か並列」という話をしましたが、それと解釈は同じです。
つまり、
ということです。
ほとんどのバイクが横置きです。縦置きは数が少なく、
という一部のバイクのみに採用されています。
モトグッツィは縦置きVツインエンジンをメーカーのアイコン的なエンジンにしており、「縦置きツインといえばモトグッツィだよね」というイメージです。
見た目はボクサーエンジンにシリンダーの角度を付けたような独特の形をしています。もちろん車体からは飛び出ています。
縦置き横置きをスラスラと説明できるといい雰囲気でますよ!
海外バイクメーカーのアイコン的エンジンまとめ
せっかくなので海外バイクメーカーの特徴的なエンジンを一覧にしておきます。
日本メーカーには特に特徴的なエンジンはありませんが、強いて言うなら「直列四気筒」ですかね。日本発祥なので。
バイクメーカー | 象徴的なエンジン |
ハーレー | バンク角45°Vツイン |
ドカティ | バンク角90°Lツイン |
トライアンフ | トリプル |
BMW | ボクサーツイン |
モトグッツィ | 縦置きVツイン |
この表を知っているだけでだいぶバイクの話題についていけるかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
バイクのエンジンについてバイク中級者程度の知識がついたかと思います。あとは雑誌やツーリング先のバイクを見ながら「これが三気筒か・・・」という目でバイクを見てバイクに乗っていない時も深くバイクを楽しんで知識を増やしてください。
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