okoんにちは!okomoto店長のオコモトです!
この記事にたどり着いた方は
という方ではないでしょうか。
バイクに興味を持ち、色々調べてエンジンの形を理解した末にたどり着くのが「エンジンの冷却方式」ではないでしょうか。
この記事ではわかるようでわからないエンジンの冷却方式について「わからなかったがわかるようになる」ための記事です。
バイク初心者の方は是非読んでいってバイクライフを少しだけ豊かにしてください。
こういうバイクの知識は知らなくても問題ないですが、知っていたほうがバイクライフが豊かになります。
バイクそのものも乗らなくていいけど乗ると人生が豊かになるものだしね!
空冷、水冷、油冷とは?
空冷、水冷、油冷とはエンジンの冷却方法のことで、まさに「文字通り」ですが、それぞれ
空冷 | 空気(走行風)で冷やす |
水冷 | 水で冷やす |
油冷 | 油で冷やす |
という方法になります。
何故エンジンを冷やす必要があるの?
そもそも「何故エンジンを冷やさなければならないのか?」という問いです。
バイクはガソリンを使って走ります。ガソリンと空気を混ぜたものをエンジンの中で爆発させ、そのエネルギーでタイヤを回しています。爆発からタイヤが回るまでの行程は
- シリンダー内で爆発が起きる
- 爆発の勢いでシリンダー内のピストンが上下する
- ピストンの片側につながったクランクシャフトが回る
- なんやかんやある
- タイヤが回る
という感じです。つまり爆発の回数が多ければ多いほど、爆発の規模(排気量)が大きければ大きいほどタイヤを回す力も大きくなるわけです。
簡単に言うとそういうことだわな
どんどん爆発を起こせばどんどん強い力を作れるのですが、、ピストンを始めとするエンジン内のパーツは金属でできているので、やりすぎると金属が「熱膨張」を起こしてしまい、ピストンがスムーズに動かなくなり、最悪の場合シリンダー(ピストンが入っている筒)の中でパンパンになって最終的には動かなくなってしまいます。いわゆるオーバーヒートです。
ピストンを熱膨張させないように、爆発によって熱が溜まっていくエンジン周りを冷やす必要があるのです。
効率よく冷やせれば冷やせるほどよりたくさん爆発させて、より大きなエネルギーを取り出せるということです。
空冷エンジンの冷却方法
空冷エンジンは熱くなったエンジンに外気(走行風)を当てることで冷却します。最も原始的で歴史の長い冷却方法です。
バイクが動く限り走行風はエンジンにあたり続けるのでエンジンがむき出しのバイクには非常に理にかなった冷却方式です。
エンジンがむき出しのバイクでもV型2気筒の後方のシリンダーには走行風があたりづらいので、排熱のためのファン(扇風機)がつけられることもあります。
コンビニからでてきてもしばらく「ブイーン!」って言ってます。
ファンを使って排熱する空冷は「強制空冷」と呼ばれ、エンジンがむき出しではない四輪車に多く見られる方法です。
走行風での空冷は「自然空冷」と言うよ
空冷エンジンのメリット
「冷却のための装置」が必要ないので生産コストが抑えられ、冷却装置のメンテナンスも必要ないので維持費もかかりません。構造がシンプルなのでエンジン廻りの重量を軽くすることもできます
バイクは軽さが命!
空冷エンジンのデメリット
空冷エンジンの最大のデメリットは水冷や油冷に比べて冷却効率が悪いことです。
強制空冷には限界がありますし、常に送り続けなければ走行風を当てられないため安定した冷却ができません。
冷却が安定しないということはエンジンの温度もエンジン出力も安定しないということです。
特にエンジンを切るわけにもいかない渋滞などではオーバーヒートの可能性が高くなってしまいますし、オーバーヒートを防ぐために燃調を濃くするので燃費も悪くなります。
高出力のバイクが作られて空冷では冷却が追いつかなくなったよ
空冷エンジンの特徴
空冷エンジンの特徴は大きく3つあります。
冷却フィン
少しでもエンジンに風が当たる表面積を増やすためにエンジンには独特の「フィン」がついています。バイク乗りの間ではこのフィンが美しいとされもてはやされています。掃除は大変ですがゴリゴリの機能美がメカ好きのバイク乗りの心をくすぐります。
昔はこのフィンにアルミ製の洗濯バサミを取り付けてさらに表面積を増やすカスタム?が多く行われていましたが効果はほとんどなかったようです。
ユルく楽しい操作性
空冷エンジンのシリンダーは熱膨張に備えてシリンダーとピストンのクリアランス(隙間)を大きく確保しています。
このクリアランスはアクセルを開けたときに一瞬タイムラグがあるような「ジワッと反応する」ということで体感することができます。
一見「レスポンスが悪く運転しづらい」と考えてしまいますが実際は逆で、「なんだかいい感じにユルくて運転しやすい」と感じます。特にコンマ1秒を争うわけではないライダーはそのユルさを「楽しさ」「空冷の味」という風に変換するので空冷は一部マニアから大きな支持を受けています。
空冷の古いバイクを大切に乗っている人はこの「味」をしめてしまった人だよ
独特のメカノイズ
冷却のためのフィンから共振音が発生するのと、水冷や油冷とは違ってエンジン内の音を吸収する液体がないため乾いたような独特のメカノイズがします。
もちろんこの乾いたメカノイズのエンジン音も一部マニアの大好物です。
空冷エンジンの未来
空冷エンジンは年々その数を減らしています。
空冷エンジンでは近年の異常とも言える排気ガス規制や騒音規制に対応できないからです。正確には、対応するとコストがかかる上に大幅なパワーダウンを強いられるためです。
ハイパワーを求められる種類のバイクではすでにほとんど絶滅状態ですが、ネオクラシックやクラシックなどのパワーをそれほど求められない車種では一部マニアに支えられて細々と生き残っていくはずです。
他にもハーレーなど空冷をメーカーのアイコンにしているメーカーやパワーよりもコストを重視する小排気量帯では生き残っていくと思います。
決して明るいとは言えない空冷エンジンの未来ですが2ストエンジンやキャブ車のように「絶滅、復活の手がかりすらない」という状態にはならないと思います。
空冷は不滅じゃ
水冷エンジンの冷却方法
水冷はエンジンを「ウォータージャケット」という水路で囲い、水路の中を冷却水(クーラント液)が循環することでエンジンを冷やしています。最も新しく、効率のいい冷却方式です。
ただ循環するだけだと冷却水は熱くなっていく一方なので、途中で「ラジエーター」という冷却水を冷却する装置を通って冷やされます。
ラジエーターには空冷エンジンについているような、表面積を増やすためのフィンがついています。
ラジエーター内の冷却水は走行風によって冷やされ、走行していないときには備え付けれたファンで送風することで強制的に冷やされます。これも空冷エンジンの強制空冷と同じですね。
外気との熱交換で冷やしているので空冷といえば空冷ですがエンジンのフィンを冷やすよりもラジエーターのフィンを冷やしたほうが熱交換効率がいいのです。
水冷エンジンのメリット
空冷エンジンにつけられたフィンよりも効率のいいラジエーターのフィンで冷まされた冷却水はエンジンのシリンダーのすぐ隣まで行って冷却することができるので冷却効率が高いのが水冷エンジンの最大のメリットです。
エンジンの温度管理ができるのでエンジンが熱くなりすぎず、安定したエンジンパフォーマンスを出すことができますし、エンジンの熱を効率よく冷やしてくれるのでより高出力のエンジンを作ることができます。
渋滞中も絶えず冷却することができるのでオーバーヒートの心配はほとんどないと言ってもいいですし、冷却水の温度を監視する水温計があるのでエンジンの温度の上昇を視覚的に把握することができます。
性能的には最高の冷却方法です。
水冷エンジンのデメリット
ラジエーターや水路のホース類、冷却水など、冷却するための装置が複数必要になるので車体価格が高くなります。
装置の増加によって重量も増しますし、冷却水の定期的な交換などメンテナンス費用もかかります。
ラジエーターのフィンは飛び石などで潰れていくので、たまにマイナスドライバーでの修理(フィンを起こすだけですが)が必要になります。
冷却水漏れの故障の可能性も出てきます。
また、エンジンの正面にラジエーターが配置されるので正面からエキパイが見えなくなるなど見た目にも悪い影響を及ぼします。その代わりにラジエーターにカバー(ラジエーターガード)を被せるカスタムがあったりします。
工夫をしてかっこ良くしてこそのバイク乗りよね!
水冷エンジンの特徴
水冷エンジンには空冷エンジンにあった機能美全開の美しいフィンがなく、全体的にフラットなイメージのエンジンになります。
エンジン前には大きなラジエーターが鎮座し、エンジンのメカノイズは冷却水に吸収されるので静寂性は上がりますが、やや甲高い音になります。
空冷ほどピストンの熱膨張を恐れる必要がないのでピストンとシリンダーのクリアランスは狭くなり、それがエンジンのレスポンスの良さにつながっています。
ダイレクトな操作感が求められるスポーツ系のバイクにはピーキーなレスポンスの方が合っています。
油冷エンジンの冷却方法
「エンジンの中にはエンジンオイルあるじゃん?それをシリンダーヘッドとかピストン裏にピュピュッとかけたらエンジン冷えるんじゃね?」といういかにもスズキらしい変態な考えでできたのが油冷エンジンです。
すでに絶滅した冷却方式です。
と思ったら最近復活した変わった冷却方式です。
ジグサー250で復活を果たしたよ!ちょっと欲しいよ!
油冷エンジンのメリット
空冷では直接冷やせないシリンダーヘッドとピストンを直接冷やせるので空冷と比べて冷却効率が良い
。
ラジエーターやポンプ、冷却水が必要ないので水冷よりも安価に作ることができ、重量も抑えられます。
「スズキ感」をエンジンで感じることができる。油冷エンジンはスズキが作ったエンジンです。
油冷エンジンのデメリット
エンジンを冷やすには思ったよりもエンジンオイルを増やさなければならなかったのと、使っている液体が油なので水冷よりも思ったよりも冷却効率が悪かった、それを大量の油を冷やすのに思ったよりも大きなオイルクーラーが必要だった点です。
冷却効率、重量、コストの面で空冷と水冷の中間だったということ。
油冷エンジンの特徴
最大の特徴は「エンジンオイルにエンジンオイルとミッションイルを冷却の3つの仕事をさせる」という一人三役の大車輪の大活躍の「発想」です。
効率大好きの僕にはどストライクでした
使っているのが油なので水冷よりも冷却効率が悪く、近年の異常な規制とハイパワー化して熱くなり続ける最新のエンジンに耐えられず超マイナーな冷却方式になってしまいましたが、この油冷の発想こそスズキがスズキたる所以なのだと思います。
油冷エンジンを歴史に刻んだ時点で油冷エンジンは成功しているのです。
個人的な話で恐縮ですがエンジンの冷却方法の中で断トツに好きな方法はこの油冷です。
油冷乗ったことないけど。
(・・・)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
という記事でした。
個人的には排気量が大きいバイクは水冷がいいと思います。僕の空冷984ccのバイクは30°を超える日は気を使って休憩を入れてあげないとパーコレーションを起こして普通に止まります。最悪です。
小排気量なら手のかからない空冷がいいかなと。
僕はメカノイズとは味とかは割とどうでもいいつまらない人間です。「空冷/水冷のバイクに乗りたい」ではなく、「乗りたいバイクがたまたま空冷/水冷だった」というのが平和かと思います。
「結婚したい!」と婚活するのではなく「この人と結婚したい!から結婚する!」の方が健全なのと同じです。いや知らんけど。
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